これまでの経緯と目的
イベリコ豚の精肉、ハモン、パレタ、ロモの品質に関する新規定について

スペインにおけるイベリコ豚業界は、経済・社会・地理・文化的にも非常に重要なセクターのひとつです。
そこで、スペイン農水食糧省(MAPA)は、昨今の社会の変化を考慮し、現状に即したイベリコ豚の主要製品の品質に関する規定を新たに定めました。
イベリコ豚の主要製品の品質に関する現行規定は、スペイン産のハモン・イベリコ、パレタ・イベリカ、ロモ・イベリコの品質規定を承認した2001年10月5日付勅令1083/2001でした。この勅令は2001年に発布され、市場における公正な競争を保証し、消費者の保護を目的とするものでした。
しかし、この現行規定は、発効以来多くの修正や変更が施され、現在では、様々な条項の文言が散漫になっています。また、この規定の適用を通して、改正する必要がある箇所も明らかになっています。
上述の理由に加え、さらに、近年では、イベリコ豚製品に対する需要が増大したことも、規定を新たに定めた理由としてあげられます。
需要が増大したのは、安全面で消費者の期待を満足させる食材であり、品質が高いこと、そして、イベリコ豚が、自然との共生を図り、恵まれた環境で育てられていることなどによります。
このような状況をふまえ、スペイン政府は去る2007年11月2日に閣議で勅令1469/2007を承認し、イベリコ豚の製品を規定する新たな「イベリコ豚の精肉、ハモン、パレタ、ロモの品質規定」を承認しました。
2007年11月3日付官報掲載の勅令は、イベリコ豚の枝肉の部分肉からつくられ、スペインで販売される精肉、ハモン、パレタ、ロモの品質基準を定めることをその目的とします。
また、これらの商品に適用可能な一般的な規定に相反することなく、品質規定で定められた販売表示の適切な使用を促進するものです。
この新たな規定は、イベリコ豚派生製品の品質を求めている消費者の期待を満たさない他種の豚製品による偽装等の不正を防ぐねらいがあります。
また、原産地呼称保護(POD)や地理的表示保護(PGI)制度により欧州連合で認定された品質を有する製品を、当規定の定める名称を用いて販売するためには、当規定に定められた条件を満たし、特定の法令が定める手順に従い、規定又は規則やその条件文書に修正を施さなければなりません。

上記を要約すると、このイベリコ豚業界の新たな品質規定の目的は、次にあげる4点に集約されます。
- 情報提供を通して、消費者が嗜好に合わせた適切な選択ができるようにすること。
- 生産・加工業者間の公正な商取引を促進すること。
- 市場の統一性を保証するために、管轄当局に業務を遂行するための管理システムを備えさせること。
- イベリコ豚製品という伝統産品を保護すること。
イベリコ豚の製品は、イベリコ豚という血統の豚からつくられ、「デエサ」という自然の生態系の恩恵を受けた伝統的な生産品です。
特に、デエサは、最終商品の品質を決定づけるだけではなく、伝統の保持と自然保護を同時に可能とする重要な要素なのです。
新しい勅令は、食品の品質と安全性を幅広くカバーしています。新たに強化された点のひとつは、イベリコ豚製品に関して、原産地から加工・販売過程全体を通してトレーサビリティを義務付けている点です。
これにより、豚の血統やラベルに記載されている餌の種類が真正であることを保証しています。
さらに、この新規定では次の管理機能が強化されています。
- EUで認定され、州政府に認可された畜産検査機関や認証機関を通じた業者の自己管理
- 自治州政府管轄当局による公的管理
そして、自己管理機能に更なる透明性をもたせるために、新規定では独立管理機関台帳を義務付け、その内容は公開され、検査・認定団体の認定・認可状態に関する情報が得られるようになっています。
同様に、業界の透明性を確保し、この新規定の適用をすすめるために、「メサ・イベリコ委員会」が設置されます。
「メサ・イベリコ委員会」は、この新規定が順当に適用されているかフォローアップし、基準や管轄行政機関間の調整に取り組むものです。
その他の支援活動
イベリコ豚製品向けの品質基準の改正とは別に、農水食糧省は、並行して普及・告知活動を行う予定です。
消費者が、市場が提供する商品に関する知識を完全に得た上で、何を買うかを決める権利を自由に行使でき
るようにするためです。
農水食糧省は、イベリコ製品の輸出と新興市場を含む海外におけるその知識の普及に力をいれています。
規定の新規項目
品質規定に新たに盛り込まれた主要項目は以下の通りです。
- 新規定には、イベリコ豚の精肉が追加されました。その理由は、イベリコ豚の精肉は、原材料の品質の高さから高付加価値商品であり、近年、消費者から高い評価を得ています。よって、真の製品を消費者に届けるためにもイベリコ豚の精肉の販売時に用いる表示方法を規定する必要があるとみなされました。
- 「デエサ」(地中海森林地帯)や「モンタネーラ」(放牧)など、品質規定に関連する重要用語が定義されました。
デエサの生態系が育むイベリコ豚の製品(ベジョータやレセボ)が、デエサの自然の恵みを食べて育ったイベリコ豚からつくられたものであることを保証するために「デエサ」の範囲を規定しています。- 豚に与えた餌の種類による新たな呼称〔セボ・デ・カンポ(屋外飼育デ・セボ)〕を追加しました。価格や官能的特性などに応じた消費者の幅広い需要や期待に対応するために、イベリコ豚製品をより細やかに区分することが可能になりました。
- 原材料(豚肉)に対する要求レベルが高められました。豚の血統を重視し、イベリコ純血種(母豚・父豚共にイベリコ種)とは、血統登録台帳に記載がなければ認められないとされています。また、餌に関しても、豚のと畜月齢が引き上げられたため、枝肉の品質向上が見込まれます。
- イベリコ豚のハモン、パレタ、ロモの加工条件を厳格化し、高品質の製品を保証しています。
- 飼養管理を強化し、イベリコ豚の餌の種類が指定されました。

このページはスペイン大使館経済商務部の許可を得て作成しております


